OUR STORY

ー ようやくかなった長年の夢 ー

世界初?北海道産トウモロコシ100%
国産コーンのトルティーヤ

「たかがトルティーヤに世界初!って、なんとも大袈裟な!」と、思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、日本国内産の乾燥トウモロコシからトルティーヤをつくっているお店は、今のところ私たち以外にはないはずです。というか、タコスの命であるトルティーヤ を、安心・安全な日本産トウモロコシでつくることは、私たちの長年の夢でした。それが叶ったのですから、少しぐらい大袈裟に言わせてください(笑)。 因みに日本でトルティーヤという名称で流通しているものの多くが、トウモロコシではなく、小麦粉を原料としたものであることはご存知でしたか?そう、ほとんどのものが本来ならトルティーヤとは呼べないものなんです。最近では、日本にもコーンを原料とした本当のトルティーヤを出すお店が数件ありますが、原料として使われているのは、ほぼすべてがメキシコ産のものです。 そもそもトルティーヤづくりに使うトウモロコシは、「香り高く肉厚、甘くない」のが特徴。でも、日本で栽培されているトウモロコシは糖度が高いものが主流です。農家さんをいろいろ当たっても、トルティーヤ向きのトウモロコシは、なかなか見つかりませんでした。何よりも価格が合わない。うちのシゲが、メキシコ人の友人にも相談してくれたところ、

「シゲ、日本のトウモロコシ1本の値段は、メキシコの乾燥トウモロコシ1kgと同じ値段なんだぜ。日本産コーンでトルティーヤをつくるなんて、夢のまた夢だよ…」

と言われてしまったそうです。この事実には、さすがに打ちのめされましたが、それでもあきらめないのが私たちです。引き続きさまざまなルートを辿って探していたところ、シゲのもとに、懇意にしているパンシェフから、北海道産トウモロコシの話が舞い込んできたんです。

疲れた畑に元気を与えるために、
栽培されているトウモロコシがある?
お菓子やパン、お酒などの
原料として使われ始めている?

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あなたは、「緑肥」という言葉を知っていますか?緑肥とは、栽培した植物を腐らせずに土壌に混ぜて耕し、肥料にすること。そのために栽培する植物のことを「緑肥作物」と呼ぶんだそうです。大正時代までは、この緑肥がごく普通に行われていたそうですが、化学肥料の台頭とともに廃れていってしまった。しかし、最近になって北海道の栗山町という場所で、以前行われていたトウモロコシによる緑肥を、復活させようという動きがあるそうで、緑肥作物であるトウモロコシをコーングリッツ(乾燥とうもろこしの皮と胚芽を除去し粒状に粉砕したもの)にして、パンやお菓子、お酒などの原料として、有効活用されはじめているというのです。早速、シゲと一緒に北海道に飛んで関係者に当たったところ、そのトウモロコシが「香り高く肉厚、甘くない」ビビアンという品種。まさにトルティーヤづくりに最適なものであるだけでなく、価格の面でも折り合いがつきそうだということがわかったのです。

もう、奇跡というしかない!

諦めずに探し続けてみるもんですよね。そんな風にして、長年の夢だった日本産トウモロコシによるトルティーヤづくりが始まることになったんです。

ちょっと黄色味がかっていて香ばしい、
北海道産トウモロコシ100%。
香ばしいトルティーヤは、
3つの幸せにつながっている??

北出食堂やKITADE TACOSで出しているタコスのトルティーヤの色が、他のお店で食べるトルティーヤよりも“少し黄色い”ということに、気づいている方もいらっしゃるかもしれませんね。「いやいやいや、気づくも何もシゲさんやミナコさんが、いつも自慢げに語ってるじゃん!」なんて声も聞こえてきそうですが(笑)、そうなんです。以前、使っていたメキシコ産コーンで作っていた頃よりも、少し黄色味がかったのが特徴。少しだけ甘みも感じますが、何よりトウモロコシの香ばしさが格別。オリジナリティー溢れるうちの具材との相性もバッチリです。このトルティーヤは、ただおいしいだけではなく、3つの幸せにつながっていると私たちは考えています。1つ目は、ご来店になるお客さまが、安心と安全に裏打ちされた自然なおいしさを味わえるという幸せ。2つ目は、そうした商品を自信を持って提供し、お客様に喜んでいただける私たち自身の幸せ。そして、3つ目は、北海道でトウモロコシを育ててくれている生産者さんたちの幸せです。家畜の飼料用などに流通させてしまうと、ほとんど値段がつかないトウモロコシに、私たちのような飲食関係者が価値を見出し、少しでも高く(いや、かなり頑張ってます!)買わせていただくことで、現地の生産者の方々のモチベーションアップにつながっていくことを願っています。だから、北出食堂やKITADE TACOSに来たら、お腹いっぱいタコスを食べてくださいね。あなたの食欲は、生産者さんたちの笑顔にもつながっているんです。

トウモロコシで食べるより、
トルティーヤにして食べる方が、身体も喜ぶ?

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トウモロコシからトルティーヤをつくる上で重要な工程があります。「ニシュタマリゼーション (Nixtamalization)」と言って、乾燥トウモロコシを茹でる段階でライムストーン(水酸化カルシウム/BBF日本橋ファクトリーでは、青森県産の帆立の殻を粉末にした粉を使用)を加える工程。実は、この工程がないと、もともと小麦などのようにグルテンを持たないトウモロコシは、トルティーヤなどに成形するための粘りがありません。トルティーヤに成形するためには、トウモロコシに粘りを与えるためのこの工程が必要不可欠なのですが、ここではもうひとつ、栄養価の面でも重要な変化が生まれます。ニシュタマリゼーションによって、トウモロコシに含まれるヒトの必須アミノ酸のうち、特にリシンとトリプトファンの吸収が容易になるのだとか。ヒトに必須なビタミンであるナイアシンは、体内のトリプトファンから合成されるらしいので、トウモロコシのままで食べるよりも、トルティーヤで食べた方が栄養価が高い。ということが言えそうです。このニシュタマリゼーション、すでに紀元前2000年前からメソアメリカ(メキシコおよび中央アメリカ北西部)で始まっていたそうで、これがあったから、トウモロコシがこの地域の人々の健康を支える主食として定着したんだとか。この方法を知らずにトウモロコシをそのまま食べていたヨーロッパの人々は、ペラグラといった欠乏性疾患に悩まされていたという記録もあるようです。

 

 

グルテンフリー?低GI値?
トルティーヤって、いいことだらけ?

上にもさらっと書きましたが、トウモロコシを原料とするトルティーヤは、グルテンフリー。健康のためにグルテンを避けている方にもうれしい食品です。しかも、トルティーヤは、こちらの「ダイエット部」さんの記事にもあるように、高炭水化物食品の中でも白米やパンに比べてGI値(食後血糖値の上昇を示す指標)が低いこともわかっています。ダイエットの面から見ても、まさに魅力的な食材と言えそうです。タコスファンにとっては、うれしい情報ですよね。